黒歴史の克服

2007-02-17 (土)
- 紀行文/北陸地区

以前の記事でスノーボードを去年始めたと書いたような気がしたが、実は約4年前にもスノーボードをやったことがあった。

それも亀屋だった。当時、自分はショートスキーが滑られるようになり面白くてたまらない時期ではあったが、 前職場のみんなは続々とスノーボードを始めていた。

約4年前に亀屋に行くという話しになったときもショートスキーは自分ただ独りという状態。 心のどこかではスノーボードをやってみたいという気持ちはあったものの、周囲が上手に滑っている中で自分一人が超初心者ではみんなに迷惑がかかってしまう。

そう考えるとますますスノーボードを始めるタイミングを逸し、ますます億劫になっていった。 かと言って、一人でコッソリ練習に励むほどバイタリティがあるわけではない。基本引きこもりなので。

そんなとき一緒に参加するM澤さんがスノーボードを始めたばかりという情報を聞きつけ、ついにチャンス到来。 石橋を叩きまくってむしろ壊してしまうほどの私はそれでも不安で、私と同様に今回スノーボードが初めてという後輩H内君を強引に引き込んだ。

で、スノーボードはベテランのN地先生に教えを乞うた。 ところが。スパルタ方針のN地先生は木の葉(※1)の滑り方だけ(※2)を教えてくれ、

(※1)木の葉……斜面の方向に対して板を垂直に立てて滑る技法。早い話が斜面を削りながら滑ってくる。

(※2)滑り方だけ……本当はもっと色々教えてくれたのだが、何一つ頭に入っていない。

「これだけできれば山は降りられるから!

とそのまま山頂まで連れていかれ……。

あとはもう思い出せない。

一つ言えることは七転八倒でコケるたびに体を強打したあげく、 レンタルのブーツが合わなかったらしく両足の親指の爪がごっそり剥がれてしまった。(※3)

(※3)ごっそり剥がれてしまった……爪は今でも治っていない。定期的に全部剥がれてしまうorz

…………………………。

この苦い黒歴史を克服するには、これまで会得した滑りをこの雪山で実践すること。そうして初めてトラウマを克服できるのだ。

石打丸山の雪山を目の前にして密かにそう心に誓っていたのだった。

石内丸山スキー場 fig.やはり雪山は良い

やはり例年にない暖冬のせいで麓の方は、どこのグラススキー場かというほど純白の雪原から黒々とした地面が顔をのぞかせていた。 が、それでも山頂付近はなんとかなった。そして4年前の黒歴史(※4)が嘘のような快調な滑り。

石内丸山スキー場 暖冬で雪がない fig.ところどころに地面が……

(※4)4年前の黒歴史……H内君などはあまりのつらい出来事のために4年前に滑ったコースを記憶していないほどだった。

しかしこの人間の数はどうだろう。 石打丸山は都心から近いこともあり午前中ですらリフト待ちのために並ばなければならなかった。 そして午後になると大丈夫だろうかというぐらい有象無象の人間であふれ返っていた。

みんなで山頂から中腹までのコースを何回か滑ったのだが、タイミングが悪いのか、 それとも狙われているのか毎回赤いウェアを来たスキーヤーのオッサンに進路を妨害(※5)され、 それがたまらなくストレスになるのだった。

(※5)進路を妨害……スピードを上げて一気に抜き去るほどの技量はまだない。

気分が高揚していたのか、さほど疲れることもなく夕方には切り上げた。

そしてこれまたどういう風の吹き回しか自分でも判らないのだが、夕食後に無性にナイターを滑りたくなった。 誰も行かないのであれば自分一人でも夜の石打丸山に突撃するつもりだったので、夕食時にみんなの前で高らかに宣言してしまった。

……宣言した後で後悔した。

一度まったりしてしまうと、もう体が動かない。しかし宣言してしまった手前行かざるを得ない。 結局私を含めて、ナイターにはS賀君とシゲとNinNinの4人の猛者が参加。

実は最初にナイターに行きたくなったのには、それなりに理由があった。 昼間に快調に滑っていた自分は、たいして上達が見られないことからもう飽きてしまっていた。 そこで緩斜面でフェイキー(※6)の練習を始めたのだった。

(※6)フェイキー……スノーボードの滑り方の一つ。普通は左足を斜面下りの方向に向けて滑るのだが、それを逆に右足から滑る技法。

ただ単に左足から滑っていたものを右足から滑るだけ……理論的にはそれだけのはずなのだがこれが滅法難しい。 いったいどうしたことだというぐらい体が言うことを利かない。やめとけばいいものを無理して滑って七転八倒。 4年前の黒歴史が鮮やかに蘇る。

昼間は人が多すぎて練習できなかったから、夜間ならば人は少ないだろう。であるならば思う存分滑られるはず。

結果的にナイターに行ったのは正解だった。シゲ先生からフェイキーを滑られるようになるコツを伝授してもらい、ひたすら練習、滑る、ぶっ飛ぶ、転倒……の繰り返し。 そして山から見た暗闇の中に浮かぶ町々の光の模様の美しさに息を飲んだ。

ナイターは人こそ少なかったものの、みんな自分同様"存分に滑るぞ"と思っているらしく、深夜の国道1号線並みに飛ばしてきやがる。 恐ろしいことこの上ない。

ナイターを終え温度調節の利かない風呂で汗を流し、みんなのいる部屋に行くとビデオ鑑賞会が始まっていた。 ビデオ鑑賞と言ってもアレなビデオやコレのビデオではなく、昼間のみんなの滑りをXactiで撮影したもの。 N地君の大学時代の友人たちともすぐに打ち解け会話は大いに弾んだ。

彼らにとってN地君とシゲ以外の約10名は初対面のはずなのに、我々の名前を全員覚えてくれたのには驚いた。 自己紹介らしい自己紹介などしていないのに……しかもこの短時間で。彼らが会話の合間で呼んでいる名前を聞いて気がついた。 素晴らしい。

翌日。

朝起きても特に酷い筋肉痛は見あたらなかった。H内君などは「腰が………っ!!」と昨日から絶叫していたが。 筋肉痛がないのはひょっとして3日後にくるとか、老化の始まりなのではなかろうか。このまま筋肉痛になりませんように。

しかしやはり相当疲れていたらしい。膝が全然曲がらない。 自分ではしっかり曲げているつもりなのだが、ナイターで七転八倒しながらも快調だったフェイキーがまったく滑られない。 これはどういうことだ。たった数時間を挟んだギャップに愕然とする。

例年1泊スノーボードの2日目ともなれば、みんな疲れ切ってしまい惰性で滑って終了、というパターンが多かった。 ところが今年はひと味違った。

原因は昨晩のビデオ鑑賞にあったようだ。 M山さんが新しいスノーボードの技を練習している姿が動画に収められ、その技がかなり上達しているのを目の当たりにした他のメンバーがかなりの危機感を持ったようだ。 口にこそ「これは(M山さんに)抜かれそうですよ~」と冗談めかして言っていたものの、 それぞれ心に秘めるものがあったようだ。黙々と自分の課題を練習、練習、ひたすら練習。もう真剣そのもの。気分は体育会系のそれ。

13時にスノーボードを終了。亀屋では女将さんがきなこ餅を振る舞ってくれ、まさに至れり尽くせり。 無事に石打丸山を攻略した私は、ようやくトラウマを克服することができた。4年前と比較すると下手ながらもそれなりに上達した……のか?

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